キツネに勝った話


 ある冬のはじめのポカポカと暖かいよく晴れた日のことでした。
正気の村のあるおばあさんは、裏山に薪を取りに出かけました。
 おばあさんが気持ちよく歩いて行くと、日当たりのよい土手に、一匹の大きなキツネが気持ち良さそうに、昼寝をしていました。
これを見たおばあさんは、
「こんちくしょう。いつもいつもニワトリを食ったり、卵を取ったり、人を困らせやがって。今日は、ひでえ目にあわせてやる。」
と言って、急いで家に帰り長い竹ざおを持って、戻って来ました。
そうして寝ているキツネにそーっと近づいていくと、「こんちくしょう!」と、力一杯なぐりつけました。
 キツネは、ふいになぐられたので、びっくりして、5、6間ぐらい飛び跳ねました。
それでも、最初のうちは何がおこったのかわからなくって、寝ボケた顔をして、目をパチパチさせていました。
ようやく、事の成り行きがわかった時、キツネはまるで、『よーし、きっと、このカタキは取ってやるぞ。』と、言うような顔をして、おばあさんを見返しました。
 その面がまえを見たおばあさんは、「こんちくしょうー。」と、もう1度長い竹ざおを振り上げて、キツネになぐりかかりました。
キツネは慌てて、逃げ出しました。
おばあさんがその後を追っても、きつねの逃げ足は早くてとても追いつけません。
だんだんと距離も離れ、とうとうキツネは、山の中に逃げ込んでしまいました。
それでもおばあさんは、家に帰ると、「今日は、キツネを負かしてやった。」と、得意になって、手まね足まねで、皆に話して聞かせました。
それを聞いた家中の人たちは大笑いをしたということです。


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