まま子話し


むかし昔のこと、ある所に姉さんと妹の二人がいました。
おっかさんは後妻だから、この姉さんは、まま子でした。

ある日のこと、おっかさんは二人を呼んで、
「この袋に栗がいっぺえになったらば、戻って来うよ」
と、袋を渡して栗拾いに行かせました。
ところが、姉さんに渡したのは、穴のあいた袋でした。
妹の方は袋一杯に栗がたまって家に戻りましたが、姉さんの方はいくら拾っても穴からこぼれてしまい、ちっともたまりません。
それでも森の中が真っ暗になるまで、一人で栗拾いをしていました。

そのうちにあたりが真っ暗になり、とうとう道に迷ってしまいました。
すると、森の奥の方にチラチラッと灯が見えました。
そこへ行ってみると小さな家があり、白ヒゲのおじいさんが炉端で火にあたっていました。
「すみませんけど、道に迷ってしまいました。一晩お泊め下さい」
と、頼みました。
「ああ、いいとも、いいとも。お泊まんなさい」
と、おじいさんはニコニコ顔で承知して、栗や椎の実を焼いて、もてなしてくれました。
次の朝、目を覚ましてみると、火がチョロチョロ燃えている芝地に横になっていました。
袋にはいっぱい栗が入っていました。
きっと、山の神様が一晩中、オオカミから守ってくれていたのでしょう。

こうして、姉さんは何とか育って、やがて娘らしくなりました。
賢く、気立ての優しい働き者だったので、長者どんの家から嫁もらいに来ました。
しかしまま母は、まだ小娘の妹の方をもらってくれと言い、なかなか承知しません。

そこで、長者どんの方も色々考えて、お盆に米を山盛りにして、松の小枝をそれに刺して、
「これを歌にして下さい。上手な方を嫁にもらいましょう」
と言いました。
妹は、おっかさんに教わって、
「お盆の上に米のせて 米の上へ松植えた」
って詠みました。
姉さんは、
「盆皿や 皿頂上に雪降りて 雪を根として 育つ松かな」
と詠みました。
姉さんは、立派に飾られた馬に乗り、鈴をシャンシャン鳴らせて長者どんの家に嫁に行きました。
妹は、涙を流して、
「姉ちゃんは、馬に乗って行って、良かったべな。俺も行きてえ、行きてえ」
と、ダダをこねました。
「それじゃ、お前は、するす(すり臼)の上に乗ってれば、馬に乗ってるみてえだよ」
と、おっかさんがなだめ、するすに乗せました。
そして、おとっつぁんと、おっかさんで、するすを回して、米のもみ殻を取っていると、はずみをくって、妹は、片足を臼の隙間に挟んでしまいました。
妹は足に大ケガをしてしまいました。
きっと、おっかさんの意地悪が、祟ったに違いありません。


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