|
むかし昔、余瀬村に仏嫌いな漁師が住んでおりました。
漁師はあるシケの夜、妻や娘が止めるのも聞かずに漁に出ました。
大シケのために魚は全然獲れず、漁師は1丈(約3m)もあろうかと思われる大ダコの足を1本背負って、夜明け間近に帰って来ました。
そして彼はその1本のタコの足で大きな利益を得たのです。
漁師は妻や娘に向かって、
「この足は大浦の沖合いにグッスリ寝込んでいた、2丈半もあろうかと思われる大ダコの足だ。
寝ていたから生け捕りにしようかと思ったが、それが出来なくて残念千万であった。
しかしこれから毎日出かけて行って、1足ずつとらえて来よう」
と言いました。
妻や娘は、
「この大ダコは多分この浜の主だろう。もうそんな事はしないで下さい。
後のたたりが恐ろしいよ」
と、しきりに止めましたが、漁師はそれには耳もかさず、
次の日も、また次の日も出かけては1本ずつ足をとって来ました。
こうして7日たちました。
7日目の夜、その妻はとても恐ろしい夢を見ました。
それは自分の枕もとで、鮮血で真っ赤なった衣を着た少女が、泣きぬれて座っているのです。
そしてその少女は、
「私は大浦の沖合いに住んでいる女タコであります。
7日前の夜、こちらの旦那様が、わたしの足を切りとって帰りました。
丁度、私が身重で苦しんでいるところでありました。
それから毎日、1本ずつ切られ、とうとうあと1本になってしまいました。
どうか旦那をとめて下さい」
と、言って消えました。
翌日は前日にもまして大暴風雨でした。
欲に目がくらんだ漁師は、昨夜の話をして妻が泣きながら注意するのも聞かずに出て行きました。
その夜の海はとても大荒れで、ついに津波がおし寄せて、漁師の家は波にさらわれてしまいました。
また、漁師もそれっきり帰りませんでした。
それから数日たったある日のこと。
大浦の浜に1本足の大ダコにまきつかれた、その仏知らずの漁師が打ち上げられていました。
漁師が大だこの足をとってから8日目のことでした。
八岡の名はその「8日」に似ているところから生まれたのだと言います。
|