Ritchie Blackmore

コントラストを使い分ける魔神

 ハードロックギターのあるべき姿を確立させた人物と言えるだろう。ヴォーカルと対を成すバンド内のナンバー2としての知的でクールな存在感、時に激しくアグレッシヴに、またはどこまでも静かに振る舞う姿も静と動のコントラストは、ハードロックならではダイナミズムで、彼の大きな特徴でもある。
 サウンド的にも、ストラト・ギターとマーシャル・アンプの組み合わせながら、ボリュームを絞り、ピッキングの強弱でとても優しい音色を出したかと思うと、地が裂けんばかりに狂ったように弾きまくるコントラスト。この時のハードな音色はハードロックギターの理想の音に限りなく近い。
 彼のフレーズは、基本的にブルーズ調なのだが、当時としては、4本指を駆使しかなり流麗なフレーズを奏でている。その流麗でハードロックにクラシック音楽のテイストを持ち込んだことでも評価が高いのだが、意外にも彼のプレイでクラシック調と言えば、単純なコードトーンを弾くものか、ライブで時おり弾く、有名クラシック曲の旋律そのものくらいである。Deep Purpleにしろ、Rainbowにしろ、クラシック風の雰囲気を出すのは曲のアレンジとキーボードの役割であると言えるのではないか。キーボードで荘厳さの漂うクラシック風の雰囲気を作り出し、ここに圧倒的破壊力で切り込んで来るのが彼である。
 曲調そのものも、交響曲のような壮大な曲があり、これもクラシック調と言える要素だろう。Rainbowの『Stargazer』等がそれである。『Difficult To Cure』『Hall Of The Mountain King』等、クラシック曲をそのまま取り入れたものもある。
 本来、ブルーズ調の方が彼の本領に近いと思うのだが、『Soldier Of Fortune』や『Mistreated』のようなムーディなプレイも素晴らしく、静の彼を理解するためには必聴である。
 ブルーズロック全盛の1970年代初頭、彼のプレイはテクニック的にも見るべきものが多く、『Child In Time』での早い3連符、『Highway Star』の歴史的な1弦16分音符の早弾き、『Burn』での同様のプレイやクラシカルなコードトーン・アルベジオ。Rainbowでも『Kill The King』でとても素早い下降フレーズが聴ける。
 また1980年代に入ると、ポップ指向になったRainbowでギターの音色は歪みがかなり少なくなった別の顔を見ることが出来る。更に、1990年代後半以降のBlackmore's Nightでは、アコースティックを中心に中世ルネッサンス風の音楽を聴かせている。アコースティックのイメージのない彼だったが、ここでのアコースティック.プレイでは、フラメンコ風なものを含め、かなりテクニカルなものまで弾いている。ロマンチックなフレーズも多く、ハードロッカーとして有名な彼の別の顔を見ることが出来る。

必聴の5曲
Child In Time In Rock <Deep Purple> 1971
Highway Star Machine Head <Deep Purple> 1972
Burn Burn <Deep Purple> 1973
Kill The King Long Live Rock'n'Roll <Rainbow> 1977
No Second Chance Shadow Of The Moon <Blackmore's Night > 1996


BACK