Tony Iommi

1度5度のヘヴィリフの生みの親

 ヘヴィ・メタルの生みの親とも言えるギタリストである。もともとは先行するZepやPurpleに対抗出来る要素として黒魔術のようなオカルトチックな雰囲気が作られたのだろうが、ヘヴィさは彼ならではのものと言える。個人的には、魂を込めて演奏すれば自然にヘヴィになるのではないかと思うのだが、いずれにしてもそのサウンドは重厚だ。
 彼のプレイにおいて特筆すべきは、何と言ってもリフである。1度5度奏法と呼ぶ人もいるほど、リフの基本型として定着した。歪んだヘヴィなサウンドでは、複雑な和音は濁ってしまい聴きずらく、和音の特徴も出ない。そこで出来るだけシンプルな和音を考えることになるが、この1度5度奏法こそ、もっともシンプルな和音と言える。コードの長短を決める3度音程をオミットしているために、短調とも違う何ともいえないニュアンスが出る(当然なのだが)。プレイの面においては同じコードポジションで弾けるために、平行移動するだけで様々なリフの可能性が見え、この点においても画期的と言える。典型的な1度5度リフとしては『Iron Man』『The Wizard』『Children Of The Grave』を挙げておくが、他にも多数ある。
 バンドがオカルトチックなイメージが先行しているが、初期においてそれ風な曲は、実はかなり少ない。基本的にはブルーズベースにヘヴィな1度5度のリフやコードワーク、曲は展開が多く、時折メロディックなフレーズが出て来る。このような曲が個人的に好きな要素であり、Black Sabbathの持つイメージが好きなのではない。別にどうでも良いことなのだが。
 オカルトチックな曲の代表はデビュー曲とも言える『Black Sabbath』だろう。その昔、キリスト教会から不吉な音であるとして使用禁止になっていたフラット5の音多用されており印象的。ほとんどこの1音だけを生かしたような曲である。これほどハッキリとフラット5を使った曲はこれが最初ではないだろうか。DIO以降はオカルトチックな雰囲気を狙って作られたと分かる曲もあるが、初期ではこの『Black Sabbath』くらいではないだろうか。
 上記以外のお薦めの曲としては、複数のヘヴィリフの展開で構成されている名曲として『N.I.B.』『Fairies Wear Boots』『Snowblind』『Sweet Leaf』も挙げておきたい。また1980年代以降、色々興味深いヴォーカリストと組んでいるので興味のある方は一聴を。
 ソロでは、ダークなイメージとは違い、流麗なものが多い。早いフレーズはハンマリングを多用するからだろう。ヴィブラートには独特のものがあり、細かな揺れが特長だ。右手中指と薬指の先端を切断するという事故に遭っているが、まったくそれを感じさせないプレイである。サウスポーにSGギター、胸に光る十字架という独特のいでたちが印象的だ。

必聴の5曲
Black Sabbath Black Sabbath <Black Sabbath> 1970
War Pigs Paranoid <Black Sabbath> 1971
Iron Man Paranoid <Black Sabbath> 1971
Sabbath Bloody Sabbath Sabbath Bloody Sabbath <Black Sabbath> 1973
Neon Knights Heaven and Hell <Black Sabbath> 1980


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